こんにちは、Dr.komakoです。
ノロウイルスによる食中毒事件の原因に、しばしば「不顕性感染」があげられるわ。不顕性感染とは何か、なぜ食中毒事件の原因になるのか、ノロウイルスの不顕性感染の割合はどれくらいなのか確認しておきましょう。
ノロウイルスの不顕性感染の割合は？
不顕性感染ってなに？
不顕性感染っていうのは、どんな感染症にもあり得ることなの。感染症は、ウイルスや細菌に感染して発熱や下痢嘔吐などの症状が起こるわ。インフルエンザウイルスに感染すると高熱や鼻水などの症状が出るし、ノロウイルスに感染すると下痢や嘔吐などの症状が起こるでしょう？
でも、身体にウイルスや細菌が入り込んで増殖しているにもかかわらず、症状があらわれないことがあるの。ノロウイルスに感染していても、症状があらわれない状態を「ノロウイルスの不顕性感染」というの。当然、感染していることに本人は気が付かないわ。
ノロウイルスの不顕性感染が食中毒の原因になる理由は？
不顕性感染を起こしているときには、当然小腸ではノロウイルスが増殖しているの。下痢を起こしていなくても、不顕性感染を起こしている人の糞便にはノロウイルスが含まれているわ。明らかに症状が起こっている人よりも糞便に含まれているノロウイルスの数は少ないことが多いけれど、症状が起こっている人と同等のノロウイルスを排出している人もいるの。
ノロウイルスに感染している人の便1ｇに対して、1億個以上のノロウイルスが含まれているといわれているの。1ｇの便で、10万人の人にノロウイルスを感染させてしまう可能性があるのよ。
ノロウイルスはインフルエンザウイルスなど、他のウイルスに比べて、形がとても小さいの。一度手についてしまうと、手のしわの中に入り込んでしまって、綺麗に手を洗っても洗い流すことがなかなか難しいのよ。
しかも、ノロウイルスは強力なウイルスで、アルコールの消毒液では死滅しないの。ノロウイルスを不活性化させるのはなかなか難しいのよ。
食品を取り扱う仕事をしている人は、普段から体調管理や手洗いにはとても気を使っていると思うの。特に、下痢などの腹部症状があったら、手洗いや消毒にはとても気を使うでしょう。でも、健康な状態のときは油断してしまうこともあるわ。
食品を取り扱う人で、ノロウイルスの不顕性感染を起こしていて、手洗いが不十分だった時、取り扱った食品にノロウイルスをつけてしまって食中毒事件がおこる事があるわ。最近では、学校給食の食パンの検品作業を行っていた従業員がノロウイルスの不顕性感染を起こしていて、パンが汚染され、1000人以上の児童・生徒が感染してしまったという事例があるわ。
ノロウイルスに不顕性感染が起こる割合は？
ノロウイルスは、不顕性感染が起こりやすいの。集団感染を起こしているときに、ノロウイルスの症状が出ていない人を調べたら、そのうちの30％の人からノロウイルスが検出されたの。つまり、ノロウイルスが流行している場所では、3人に1人くらいの割合で不顕性感染が起こっているのよ。
しかも、ノロウイルスは免疫がつきにくくて、一生涯で何度でもかかるわ。
ノロウイルスの患者さんが身近にいる時には、自分も感染していると考えて手洗いや消毒を徹底的に行うようにしましょう。だって、自分が食中毒の原因になるなんて、誰だって嫌だもの。
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