こんにちは、Dr.komakoです。
子どもがインフルエンザにかかったら、合併症をおこす可能性があるので注意が必要よ。子ども特有の合併症があるし、症状の現れ方も大人と違ってくるわ。初めてお子さんがインフルエンザにかかったというお母さんは、とても心配になるわよね。子どものインフルエンザの特徴をとらえて冷静に対処してね。
子どものインフルエンザの特徴
2峰性発熱
子どものインフルエンザでは、成人よりも高い熱が出る傾向があるの。それに、熱が一度落ち着いて、インフルエンザが治ったように見えたのに、半日から1日後にまた熱が上がる、2峰性発熱が起こって、お母さんはびっくりするかもしれないわね。
2峰性発熱は、お母さんの免疫が残っている生後6か月まではみられないわ。インフルエンザワクチンを打っているひとにもみられることが少ないわ。インフルエンザワクチンを打っていなくて、初めてインフルエンザにかかった子どもさんは、一度熱が下がっても、また上がる可能性があるということを覚えておいてね。
また、子どもがインフルエンザにかかると、大人がインフルエンザに罹った時よりも長い期間菌を排出して、人にうつしてしまうの。
保育園や幼稚園に行けるようになるのは、熱が出た次の日から数えて5日後をすぎてからで、熱が完全に下がってから3日後を過ぎてからよ。
呼吸器の合併症
子どものインフルエンザでは、呼吸器の合併症をおこしやすくなるの。最も多いのが中耳炎でインフルエンザに罹った子どもの25%が発症するといわれているの。
子どもの肺炎は、重症化しやすいウイルス性の肺炎が圧倒的に多いわ。また、大人ではあまり起こらない、細気管支炎も起こりやすい合併症よ。
中枢神経合併症
熱性けいれん
5歳以下の子どもがインフルエンザにかかったら、その中の10%に熱性けいれんがおこるの。熱性けいれんのほとんどは、心配のいらない単純型の熱性けいれんよ。
熱性けいれんは、10人に1人が6歳未満のうちに起こすの。1歳から2歳の間が一番多いわ。熱性けいれんが起こるのは生涯に一度だけということが多くて、2回以上繰り返すのは25~50%、3回以上おこすのは9%程度よ。
熱性けいれんが起こったら、お母さんはかなりあわてると思うけど、おちついて次のように対処してね。
- まずあわてないこと:数分でおさまり、熱性けいれんで命を落とすことは無い。
- 何もしないこと:歯を食いしばっていても、口に物を挟まない。ゆすったりおさえたりしない。
- 楽な姿勢をとること:首回りを楽にし、衣類を緩める。
- 嘔吐に備えること:横向きの姿勢にし、吐いたものが気管に入らないようにする。
- よく観察すること:けいれんが起こっている時間、動きの左右差、目の動きをよく観察してお医者さんに説明できるようにしておく。
- 意識が回復するまで待つこと:意識が回復するまで見守る。意識が完全に回復するまで飲み物などは与えない。
けいれんが治まったら、病院を受診しましょう。
熱性けいれんが次のような症状で起こっているときは救急車を呼んでね。
- けいれんが10分以上続く
- 短い間隔で繰り返し起こし、意識障害がある
- 身体の一部や片側にだけ強いけいれんがある
- 意識が戻らない・麻痺がある
インフルエンザ脳炎
インフルエンザ脳炎とは、インフルエンザから回復して2~3週間後におこる脳炎で、インフルエンザ後脳炎と呼ばれるものなの。これはとても珍しい合併症よ。
ライ症候群
ライ症候群はインフルエンザの回復期に消化器や意識障害を起こす合併症よ。インフルエンザや水痘にかかっている時にアスピリンを使うと発症しやすいわ。最近はアスピリンを使わなくなったので、ほとんど見られなくなった合併症よ。
インフルエンザにかかったら、病院に行ってちゃんと出された薬だけをお医者さんの指示通りに飲んでね。市販の解熱剤を飲んではいけないわよ。
急性脳炎・脳症
年間100人以上の子どもさんが、命を落としている重篤な合併症よ。A型インフルエンザ、とくにA香港型インフルエンザに伴って発症することが多いわ。
発熱してから急激にけいれんや意識障害がおこるの。肝機能異常が起こることも多いわ。
筋痛・筋炎
筋痛はインフルエンザが発症するときに、背中や足の筋肉が痛くなることで、発熱した後は自然によくなるわ。
筋炎は、インフルエンザの回復期にふくらはぎの筋肉におこるの。よくあるのが、インフルエンザの発熱が治まってベッドから起きようとしたらふくらはぎが痛くて歩けないというパターンよ。
お母さんはすごくびっくりしてしまうけど、数日でよくなるから安心してね。
心筋炎
心筋炎はインフルエンザでは珍しい合併症よ。起こっても軽症で経過も良好よ。でもまれに急速に進行して致命的な状態になることがあるわ。
インフルエンザの予防
子どもはインフルエンザなど病気を何度か経験して免疫を獲得していくもの。でも、やっぱりインフルエンザワクチンを打っておくことをお勧めするわ。一度もインフルエンザにかかっていない幼児がインフルエンザワクチンを打っても、抗体が上がりにくいし、B型インフルエンザの予防効果は残念ながら期待できないの。でも、感染の拡大を予防する効果や、重症化を防ぐ効果は期待できるわ。
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