こんにちは、Dr.komakoです。
子宮筋腫の手術には、子宮筋腫だけを取り除く「核出術」と、子宮を取り除いてしまう「全摘出術」があるの。「全摘出術」を行うのはとてもまれなケースよ。
「核出術」でも、「全摘出術」でも、お腹を開腹して行う手術と、お腹を開かないで行う手術方法があるの。
どのような手術を行うのかは、子宮筋腫の状態と、出産を希望するのかなど、患者さんの人生プランを考慮して決めるの。だから、全てお医者さんにお任せというわけにはいかないわ。それぞれの手術のメリットとデメリットを知って、自分の希望をお医者さんに伝えてね。
子宮筋腫の手術の種類とメリットとデメリット
核出手術のメリットとデメリット
核出手術と言いうのは、子宮から子宮筋腫だけを取り除く手術なの。一昔前は、子宮筋腫になると子宮をすべて取り除く全摘出手術を行うことも多かったわ。でも、医療機器や医療技術の進歩で、ほとんどの筋腫を核出術で取り除くことができるようになったわ。
核出術は、子宮筋腫ができている場所の子宮の壁を切り開いて、スクリュー状の器具で子宮筋腫を引っ張り出しながら、子宮から引き離していくの。
核出手術には、以下のようなメリットとデメリットがあるわ。
メリット
- 妊娠・出産の可能性が残される
- 子宮筋腫の症状がなくなる
デメリット
- 再発することがある
- 出血量が多くなる可能性がある
- 癒着が起きやすい
核出手術方法の種類
開腹手術
お腹を切り開いて行う手術よ。お腹は、縦に切る場合と横に切る場合があるわ。
- メリット:手術時間が短く安全。大きな筋腫・多数の筋腫も取り除ける。ほとんどの医療機関で行える。
- デメリット:術後も痛みが残り、入院期間が長く社会復帰に時間がかかる。お腹に傷が残る。
腹腔鏡手術
おへその下に5~10㎜の穴を開け、腹腔鏡を入れ、モニターを見ながら行う手術よ。
- メリット:術後の癒着が少なく、痛みも少ない。入院期間が短い。傷跡が小さい。
- デメリット:予期できない出血などで開腹手術に変更することがある。行える医療機関が限られている。
子宮鏡手術
子宮の内腔に電気メスを入れ、筋腫を取り除く手術よ。
- メリット:お腹に傷ができない。痛みが少ない。入院期間が短い。
- デメリット:適応になるケースが少ない。数回に分けて行う場合がある。途中で手術方法を変える場合がある。副作用が起こる可能性がある。
核出術が難しいケース
非常にまれなケースだけれど、核出術を行うことができなくて、子宮を取り除く全摘出術を行わなければいけないことがあるの。
- 非常に巨大な子宮頸部筋腫
- いくら状に多数ある筋腫
- 手術中の多量出血
- 筋腫核の完全摘出が困難
全摘出手術のメリットとデメリット
子宮を全摘出するケースは最近はとても少なくなってきたわ。昔は、年齢が高く出産の可能性が無い場合は子宮全摘出手術を勧めることも多かったの。でも、女性にとっては、子供を産む年齢を過ぎたからと言って、子宮をとってしまう事には抵抗があるものよね。でも、前記の核出術が難しいケースでは、全摘出手術を行うことになるわ。
メリット
- 手術時間が短い
- 安全性が高い
- 再発の心配が少ない
- 子宮がんや子宮肉腫のリスクがなくなる
- 子宮筋腫の症状がなくなる
デメリット
- 妊娠・出産ができなくなる
- 子宮を失った喪失感がある
全摘出手術の種類
開腹手術
もっとも一般的に行われるのはお腹を回復して卵巣や膣と子宮を切り離し、子宮を取り除く手術よ。
- メリット:手術時間が短くて安全。対応できる医療機関が多い。
- デメリット:術後の痛みがあり、入院期間が長くなる。お腹に傷が残る。
腹腔鏡手術
腹腔鏡をお腹に入れて、子宮を切り刻んで体外に排出するか、膣から子宮を取り除く手術よ。
- メリット:傷が小さく、入院期間が短い。
- デメリット:非常に難易度の高い手術で、できる医療機関が限られている。
膣式手術
お腹を切らず、膣の上部を切り開いて子宮だけを取り除く手術よ。
- メリット:お腹に傷ができず、術後の痛みが少ない。
- デメリット:見える範囲が少なく、難易度が高い。手術中に開腹手術に切り替えることもある。
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