こんにちは、Dr.komakoです。
橋本病は、甲状腺の機能低下が起こる病気よ。
バセドウ病と同じ自己免疫疾患なの。
甲状腺をステージにしておこる、同じ自己免疫疾患なのに、バセドウ病は甲状腺の機能亢進、橋本病は甲状腺の機能低下。
なぜ、真逆の症状が出るのかしら?
橋本病の原因は?
橋本病とバセドウ病の違い
橋本病も、バセドウ病も、甲状腺に影響が起こる自己免疫疾患よ。
まず、自己免疫疾患とは何かを説明するわ。
免疫機能は、身体の中に有害なウイルスなどが入ってきたときに、有害物質と闘って外敵を排除する働きなの。
人間が生きている環境にはとてもたくさんの病原菌があるし、身体の中には抗酸化物質がたくさんあって毎日がん細胞などの有害な細胞が生まれているわ。免疫機能は、身体の内側と外側からの有害なものから体を守ってくれる大切な機能なのよ。
その免疫機能が、なぜか間違って身体の正常な働きをしている場所を攻撃することがあるの。そういった間違った免疫機能の働きによっておこる病気を、自己免疫疾患と呼ぶのよ。
バセドウ病は、甲状腺のホルモン分泌を促す、甲状腺刺激ホルモンに関する自己免疫疾患なの。間違って作り出してしまった自己抗体が甲状腺刺激ホルモンに代わってどんどん甲状腺を刺激してしまうから、過剰に甲状腺ホルモンが作られてしまう病気なのよ。
橋本病では、甲状腺の細胞に対して、リンパ球が攻撃を始めるの。
甲状腺は割と余裕を持っている臓器だから、リンパ球が攻撃を始めても、最初のうちは大した影響は表れないわ。しばらくの間は、甲状腺ホルモンは正常に分泌され続けるの。
リンパ球の攻撃が続くと、さすがに甲状腺もダメージを受けて、甲状腺ホルモンの量が少なくなってくるわ。すると、脳の下垂体というところがそれを察知して、甲状腺刺激ホルモンをたくさん放出して、甲状腺ホルモンを多く分泌するように命令を下すの。
この段階ではまだ、身体に甲状腺機能低下の症状は現れないわ。
でも、だんだんと甲状腺の機能が低下していくと、いくら甲状腺刺激ホルモンが甲状腺ホルモンをつくるように命令をしても甲状腺はホルモンを作り出すことができなくなってしまうの。
この時に初めて、橋本病の症状があらわれてくるわ。
橋本病もバセドウ病も、原因は同じ遺伝子?
自己免疫が、なぜ橋本病やバセドウ病のような病気を引き起こすのかは、まだ解明されていないの。
でも、どうやら、この2つの病気を起こす遺伝子は、同じものみたいよ。
甲状腺の病気は、遺伝することが分かっているの。
橋本病やバセドウ病の患者さんを調べると、身内に甲状腺疾患にかかった人がかなり高い確率でいることが分かっているわ。
橋本病の患者さんでは、身内に橋本病にかかっている人が多い、というわけではないの。自分は橋本病だけど、お姉さんはバセドウ病、お母さんは橋本病、従妹はバセドウ病、という感じよ。ということは、バセドウ病も橋本病も、同じ遺伝子が関わっていると考えられるわ。
ただ、身内を見回してみると、「バセドウ病の方が多いかも。」という人は結構いるの。橋本病は発症までに時間がかかるし、発症しても老化などと間違えられて、発見が遅れがちになるわ。バセドウ病の方が、明らかに病気としての症状があらわれて、診断がつきやすいの。バセドウ病の方が多いと思っていても、実は橋本病も同じくらいの確率で発症していたということはあり得る話よ。
とにかく、橋本病もバセドウ病も、遺伝するということは間違いがないの。
身内に甲状腺の病気を持った人がいる場合には、50歳を過ぎたら甲状腺についての検査を受けることにしたほうがいいわ。
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