こんにちは、Dr.komakoです。
GnRHアゴニストという薬は、子宮筋腫を小さくしてくれるの。でも、子宮筋腫の治療として、長期間使われることは無いわ。子宮筋腫の手術前だけに使われる薬なの。
子宮筋腫を小さくしてくれるのに、どうして長期間治療薬として使ってはいけないのかしら?薬で子宮筋腫が小さくなるのなら、手術をする必要はなくなるのに。
GnRHアゴニストとは?
GnRHアゴニストの作用
GnRHというのは、もともと人間の体の中にある物質で、脳下垂体に働きかけて卵巣にホルモン分泌を促す作用があるの。アゴニストっていうのは、誘導体という意味ね。つまり、GnRHアゴニストという薬は、もともと体にあるGnRHと似たような物質で、卵巣からのホルモン分泌を促す作用がある薬なの。
GnRHアゴニストを飲むと、最初は女性ホルモンの量が多くなるの。でも、卵巣は過剰にホルモン分泌を促すことに対して「なんだかおかしい」と防衛反応を起こして、ホルモン分泌をやめてしまうの。
GnRHアゴニストは、こういう作用を使って女性ホルモンを分泌しないようにする薬なのよ。
GnRHアゴニストの効果
子宮筋腫の原因はまだはっきりとは解明されていないけれど、子宮筋腫が大きくなる原因には女性ホルモンが何らかの形でかかわっていることは解明されているの。GnRHアゴニストの服用によって女性ホルモンの分泌が止まると、子宮筋腫は小さくなって行くのよ。
GnRHアゴニストには、子宮への血流を減少させる働きがあるの。GnRHアゴニストを服用していると、子宮に栄養を送る血管が細くなって、子宮への血流が少なくなるのよ。血流が少ないと、手術中の出血を少なくする効果が期待できるわね。
GnRHアゴニストを服用すると、子宮筋腫の大きさは平均的に3か月で直径が2~3㎝、容量にすると大体半分くらいまで小さくなるの。
GnRHアゴニストの副作用
GnRHアゴニストを服用すると、1~2か月で月経がなくって閉経したような状態になるの。身体は、更年期を迎えたのと同じような状態になるわ。更年期におこるような症状が、副作用として起こってしまうの。
更年期症状についてはこちらの記事をご覧ください。
他にも、骨量が低下して骨粗鬆症が起こりやすくなるわ。とてもまれだけれど、うつ状態が起こったり、脱毛が起こることもあるの。
GnRHアゴニストを服用しなくなると?
GnRHアゴニストは、子宮がんのような悪性腫瘍に対しては、長期間服用することがあるわ。でも、子宮筋腫のような良性の腫瘍には、副作用の危険性を考えると長期間の服用は基本的には行わないの。
子宮筋腫の治療でGnRHアゴニストを服用するのは、子宮筋腫の手術に備えて、子宮筋腫を小さくしたり、子宮内膜を薄くしたり、子宮への血流を少なくするための短期間に限られるわ。
子宮筋腫の治療を行っている人の中には、これから妊娠・出産をしたいと希望している人も多いと思うの。そう言う人にとってGnRHアゴニストの服用によって、月経が止まってしまうのは心配でしょう。でも、GnRHアゴニストの服用をやめると、女性ホルモンの働きは通常と同じ状態に戻るわ。だから、この薬が妊娠や出産に悪影響を及ぼすことは無いの。
ただし、服用をやめると、子宮筋腫も2~3か月で元の大きさに戻ってしまうわ。
あわせて読んで欲しい記事はこちらです。
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