こんにちは、Dr.komakoです。
子宮筋腫の治療法で子宮動脈塞栓術(UAE)という治療方法があるの。2014年に保険適応になった治療方法よ。子宮筋腫に栄養を送っている動脈を塞いで、子宮筋腫を消滅させるの。手術ではないから、お腹に傷が残ることは無いわ。
切らずに治せる子宮筋腫の治療、子宮動脈塞栓術(UAE)とは?
子宮動脈塞栓術(UAE)とは
子宮には、子宮動脈という動脈が流れているの。子宮筋腫は、子宮動脈から栄養をもらって成長しているの。だから、子宮筋腫にゼラチンの粒子を詰まらせてしまって、血液や栄養が子宮筋腫に届かないようにするの。
栄養が届かなくなった子宮筋腫は、壊死してしまうのよ。
「子宮動脈が詰まってしまったら、子宮にも栄養が行き届かなくなって、子宮自体が死んでしまうんじゃないかしら?」
鋭い人なら、そんな疑問を持つでしょう。子宮は、子宮動脈以外からも血液が送られているから、大丈夫なの。子宮動脈を詰まらせるために注入したゼラチンは、身体に吸収されていずれ子宮動脈の血流は再開するわ。でも、その時には子宮筋腫は壊死して30~40%くらい小さくなっているの。壊死した子宮筋腫は、血流が再開しても大きくなることは無いわ。
子宮動脈塞栓術(UAE)のメリットとデメリット
メリット
- お腹を切らないので傷ができない
- 子宮をとらないで済む
- 局部麻酔でできる
- 子宮筋腫の場所や数に左右されずに行える
- 癒着が無い
- 再発が少ない
- 貧血気味でも実施できる
デメリット
- まだ始まって間もない治療法で、長期的なデータが無い
- 組織検査ができない
- 実施できる医療機関が限られる
子宮動脈塞栓術(UAE)の適応になる子宮筋腫
子宮動脈塞栓術(UAE)は、ほとんどの子宮筋腫に行うことができるの。子宮筋腫の手術をすすめられたけれど、できれば手術はしたくないという人が受けることが多いわ。とくに、子宮全摘出手術を勧められた人にとっては、治療の選択肢が増えたことはとてもうれしいことね。
ただし、あまりにも大きな子宮筋腫や有茎性筋腫には行うことができないわ。造影剤にアレルギーがある人も、UAEを受けることができなくなるわ。
子宮動脈塞栓術(UAE)の合併症
子宮動脈塞栓術(UAE)の合併症には、次のようなものがあるわ。
- 塞栓後症候群:下腹部痛・発熱・嘔気・嘔吐・倦怠感・食欲不振が術後1週間ほど起こることがある。
- 卵巣機能低下:塞栓物質が卵巣側に流れ込み、無月経などの症状が起こることがある。
- 子宮筋腫分娩:壊死した子宮筋腫が子宮内に落ちてしまった時、子宮口から排出される。排出されるまで下腹部痛や発熱などの症状が起こる。自然排出しない場合、腹腔鏡下で摘出手術を行う。
- 感染症:粘膜下筋腫にUAEを行った場合、術後数か月経ってから膣からの細菌が子宮筋腫に感染することがある。
- その他:ごくまれに、子宮内膜の萎縮、下肢静脈塞栓、造影剤へのアレルギー反応などが起こることがある。
子宮動脈塞栓術(UAE)と妊娠・出産
子宮動脈塞栓術(UAE)は、長期的なデータがまだ少ない治療なの。妊娠や出産に関するデータもあまりないわ。もちろん、UAEをおこなったあと、問題なく妊娠や出産を行ったという例もあるわ。でも、リスクを避けるために、将来妊娠や出産を希望する方にはUAEを行わない方針の病院が多いわ。
子宮動脈塞栓術(UAE)の入院期間
病院によってちがうけれど、子宮動脈塞栓術(UAE)の入院期間は、2~4日というところが多いわ。
施術を行う前日に入院→子宮動脈塞栓術(UAE)実施(15~30分)→2日後に退院
という治療を行っている病院が多いわ。
子宮動脈塞栓術(UAE)の費用
子宮動脈塞栓術(UAE)は、2014年に保険適応になったわ。3割負担の患者さんで、15万円~20万円の治療費負担が発生するという病院が多いわ。もちろん、高額医療費負担制度を利用することができるわよ。
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