Dr.komakoのおんなのよろず診療所

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アルコール依存症の治療と家族の役割

こんにちは、Dr.komakoです。

 

アルコール依存症の治療には、家族の支えが必要なの。

じつは、家族が良かれと思ってやっていることが、アルコール依存症の治療の妨げになっていることもあるのよ。

 

アルコール依存症の治療と家族の役割

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アルコール依存症を悪化させる家族の対応

アルコール依存症の家族は、現状をどうにかしようと、毎日一生懸命闘っているわ。その中で、知らず知らずのうちに、アルコール依存症本人にとって居心地が良くて、飲酒をすすめやすい環境を作り出してしまっていることがあるの。

 

  • 世間体を気にして、家族にアルコール依存症がいることを隠すようにすることがあるわ。お酒が無いと不機嫌になって、大声を出したり暴れたりするから、本人の要求する通りにお酒を与えることになるわ。アルコール依存症者はアルコール依存症をたてに家族を自分の思い通りに操れるわ。
  • 家族がアルコールを飲まないように、お酒を捨てたり取り上げたりすることがあるわ。本人はアルコールをやめる気はないから、家族の対応がストレスになって帰って飲酒欲求が強くなるわ。
  • 家族と本人で、幾度となく「お酒を飲まない」という約束を交わし、約束を簡単に破られるということを繰り返すわ。その度に家族は傷ついて、本人への信頼を失い、アルコール依存症者と家族の関係は悪化していくわ。
  • アルコール依存症の家族は、アルコール依存症本人を子ども扱いして、本人が負うべき責任を代わりに背負って、本人が考える機会や決断する機会を奪っていくわ。アルコール依存症本人にとっては、全てを家族が背負ってくれて、自分はお酒を飲んでいればいいという心地よい環境が出来上がるの。
  • 家族がアルコール依存症者なしの関係を築き上げると、その生活を乱して欲しくないと思うようになるわ。家族はアルコール依存症本人を刺激しないように過ごすようになるの。一見アルコール依存症本人は、家族の中にいないような存在に見えるけれど、実は家族の中心的な存在になって、家族をコントロールしているのよ。

アルコール依存症になりやすい性格傾向に、幼児的で自己中心的、依存心の強さ、独立性や力を誇示する欲求の強さが挙げられるわ。

 

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 家族がアルコール依存症の本人との関係の中で、自分たちを守るために必死で行っていた対応は、アルコール依存症本人にとってはとても居心地のいい環境を作っていたの。

自分が負うべき責任や役割を家族にまかせ、なおかつ家族をコントロールしている状態で、飲酒を続けていることが許されている環境。

 

まず、これを何とかしないといけないわ。

 

アルコール依存症の治療のために家族がとるべき対応

飲酒行動に関わらない

本人が素面の時に、「あなたのことを心配している。」「お酒をやめてほしいと思っている。」「今後一切お酒を買わない。」「お酒を飲むか飲まないかはあなたにまかせる。」と伝えましょう。

 

お酒に関わる行動の責任を、本人に背負ってもらうのよ。

 

酔っている時の言動に関わらない

お酒を飲んで大声を出そうが、暴れようが、放っておきましょう。近所から苦情が来たら、しらふの時に本人にそれをさらりと伝えましょう。飲んで転んでけがをしても、寝てしまって風邪を引いても、放っておくのよ。

 

お酒にまつわる行動の責任は、すべて本人が背負うべきなんだから。

 

酔って起こした問題にかかわらない

酔っ払って会社を休んでも、本人の代わりに電話をかけてはダメよ。酔って喧嘩をして警察のお世話になっても、身元引受人にならないようにして。

 

お酒を飲んで起こした問題は、全て本人の責任よ。

 

暴力からは逃げる

家族が自分の思う通りに動いてくれないことで、暴力に訴えることがあるかもしれないわ。その時はなにがなんでも逃げて。酔っている人間を止めることはできないし、暴力によって怪我を負うことは絶対に避けたいわ。

 

本人にも、暴力はいけないことだと自覚してもらう必要があるわ。暴力を起こすようであれば、警察を呼びましょう。

 

逮捕をしてもらうことが目的ではないの。本人に、お酒によって暴力をふるうことがいけないことだという自覚を持ってもらうのが目的よ。

 

関係者が一貫した態度をとる

家族が自分の都合のいい環境を与えてくれない時に、別のところから協力を求めることがあるかもしれないわ。でも、本人が飲酒に対する責任を負うという目的を周囲の人が徹底する必要があるわ。

 

もし親戚や知人など、家族以外に飲酒を助ける人が出てきたら、その人に治療の意図を伝えて、協力してもらってね。

 

気持ちを率直に伝える

アルコール依存症の家族は今まで、本人を刺激しないように、自分の気持ちを本人に伝えないようにしてきたと思うの。

 

でも、本心を伝えて、家族の本当の気持ちに気付かなければ、アルコール依存症本人が自分の置かれている状況を自覚することはできないわ。

 

伝える時は、常に、自分を主人公にして話して。

 

「私は、あなたがお酒を飲むのが悲しい。」というように、端的に、率直に、自分の気持ちを伝えてほしいの。

 

ただし、大事なことは、本人が素面のときに言うようにしてね。

 

家族の精神状態を安定させるための援助を受ける

家族は今までと違った対応を取ることに戸惑うし、不安に思うこともあると思うわ。でも、自分たちが行っている対応を自信を持って続けるために、自助グループに参加して一緒に戦う仲間を作ってほしいの。

 

アルコール依存症の治療は、家族一人一人が自分に向き合う必要があるし、アルコール依存症は自分自身の問題でもあることを、受け止める必要があるわ。

 

アルコール依存症という大変な問題と向き合うためには、仲間の存在が絶対に必要なのよ。

 

アルコール依存症と闘う決意をしたら、読んで欲しい本があるの。

 きっと、あなたの味方になってくれるわ。

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