こんにちは、Dr.komakoです。
ステロイド外用薬は副作用が怖いから使いたくないと思っている人はいまだにたくさんいるみたい。でも、アトピー性皮膚炎で使われているステロイド剤は塗り薬だから全身性の副作用をおこすことはまずないのよ。
アトピー性皮膚炎｜ステロイド外用薬の副作用
ステロイド外用薬の効果
ステロイドとは、もともと副腎皮質で作られる副腎皮質ホルモンの事で、炎症を抑えたりたんぱく質や糖の代謝に関わったりと人間の身体には必要不可欠な働きをしているの。ステロイド剤は、この副腎皮質ホルモンの働きに着目して人工的に副腎皮質ホルモンを合成した薬なの。
アトピー性皮膚炎では、炎症を抑え、劇的に肌の状態を改善してくれるのよ。
ステロイド外用薬の副作用
ステロイド剤の副作用には、局所性のものと、全身性のものがあるの。まず、ステロイド剤の副作用の症状を知っておきましょう。
- 全身性の副作用：ムーンフェイス（顔が丸くなる）、糖尿病、骨粗鬆症
- 局所性の副作用：膝・肘のくぼみの皮膚萎縮、頬の血管の拡張、ざ瘡、毛嚢炎、酒さ様皮膚炎（顔の皮膚の赤みやほてり）、多毛（薬を塗布したところに毛が増える）、細菌感染症、真菌感染症、皮膚線条、接触性皮膚炎
アトピー性皮膚炎で使われるステロイド剤は外用薬と呼ばれる塗り薬なので、全身性の副作用はまず起こることは無いわ。全身性の副作用は、血管にステロイド剤の成分が入り込むことによっておこるの。塗り薬が皮膚に吸収されても血管に成分が入り込む量はとても少ないわ。それに、皮膚からステロイド外用薬の成分が吸収される量は、皮膚の状態が改善されるにつれて少なくなって行くの。
急性期で皮膚が傷だらけの状態にステロイド外用薬を塗ると、薬の成分は90％皮膚に吸収されるわ。3～4日して皮膚症状が落ち着くと、吸収される量は30％に減るの。健康な状態に戻って肌バリアが復活すると、薬は10％くらいしか吸収されなくなるわ。肌のバリア機能も手伝って、ステロイド外用薬が全身性の副作用を起こすことはまずないといえるの。
ただし、これは正しい用量を守っている場合よ。ステロイド外用薬を過信して、たくさんの量の強い作用のステロイド外用薬を使っていると、さすがに全身性の副作用が起こる可能性があるわ。
ステロイド外用薬で全身性の副作用を起こすとしたら、ストロングクラスのステロイド外用薬を1日20ｇ（チューブ4本分）使うかもしくは、チューブ1本分のステロイド外用薬を毎日3か月以上使い続けた場合ね。ステロイド外用薬の容量は、お医者さんに決められた分量を守ってね。
局所性の副作用は、ステロイド外用薬の治療を行っていると現れる可能性はあるわ。皮膚の状態が改善して、ステロイド外用薬の使用をやめると、半年くらいで局所性の副作用は改善するわ。ただし、わきの下や太ももの付け根、陰部にできる皮膚線条は、一度できると治らないの。皮膚線条は、皮膚が薄くなって裂けてしまい、妊娠線のようなものができるの。
ステロイド外用薬の副作用でよくある誤解
ステロイド外用薬を使うと皮膚が黒くなる？
アトピー性皮膚炎の治療を進めて行くと、皮膚が黒ずんでくることがあるの。これは、皮膚に色素沈着が起こったためで、皮膚の炎症が改善したことによっておこる症状なの。治療過程でどうしても避けては通れない症状だけど、いずれ良くなるわ。この症状は、ステロイド外用薬の副作用とは関係がないわ。
ステロイド外用薬をやめるとリバウンドする？
ステロイドの内服薬を長期間飲んでいると、副腎皮質の機能が低下して副腎皮質で副腎皮質ホルモンが作られなくなってしまうの。だから、ステロイドの内服薬をやめる時は、少しずつ量を減らして行くのよ。急激にステロイド内服薬の服用をやめてしまうと、一時的に副腎皮質ホルモンが足りなくなって抑えられていた症状がぶり返したり、めまいや吐き気などの離脱症状が起こることがあるの。
ステロイド外用薬で副腎皮質の機能が低下することは無いから、リバウンドや離脱症状が起こることは無いわ。でも、アトピー性皮膚炎の症状が完全に治っていない間に急にステロイド外用薬を使うのをやめると、症状が急激にぶり返してしまうの。これをリバウンドと勘違いしている人がいるの。ステロイド外用薬は、十分に皮膚の状態が改善した後、少しずつ弱い作用の薬にかえたり塗る回数を減らしていくのよ。
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