こんにちは、Dr.komakoです。
不妊治療を行う前に、妊娠がどうやって成立するのかを知っている必要があるわ。妊娠は、本来人間に備わっている自然な機能だけど、詳しくひも解いていくととてもドラマティックなの。
たくさんのプロセスが絶妙のタイミングで重ならないと、一つの命は誕生しないのよ。
妊娠のメカニズム:妊娠はとてもドラマティックな出来事です
第1話 排卵までのカースト争い
女性は生まれた時から卵巣に将来卵子になることができる原始卵胞を持っているの。女性ホルモンの刺激を受けると、そのうちの20個ほどの原始卵胞が目覚めて成長を始めるの。
卵子になれるのは、その20個の中のたった一つよ。(まれに複数の事があるけれど。複数の卵子ができてすべて妊娠したら双子などの多胎児になるわ)熾烈な成長争いに勝ち残ったたった一つの卵胞が主席卵胞となって生き残り、争いに負けた卵胞を栄養にして成長を続けるの。
約2週間かけて充分に成長した主席卵胞は、やがて卵巣の壁を破って卵管采に向かって外に飛び出すの。
卵管采は、ヒダを伸ばして卵子が到着するのを待っているわ。卵管采にたどり着くことができた卵子は、精子との出会いの場になる卵管膨大部まで移動していくのよ。
卵子の寿命は24時間で、そのうち受精卵になることができる時間は、たったの6~8時間なのよ。
第2話 精子の壮絶なる旅路
射精された精子は、子宮の入り口あたりに放出されることになるわ。精子はここから、卵子の待つ卵管膨大部まで、長い旅を始めるの。
精子の大きさは0.06㎜で、一回の射精で3~5億個の精子が放出されるの。精子は頭部・頸部・尾の3部分からできているの。尾が魚のヒレのように動いて、前進していくわ。障害物にぶつかると、方向転換することもできるのよ。精子は、10秒間に1㎜くらい進むことができるの。
精子が放出される子宮の入り口からゴールである卵管膨大部までの距離は、精子を170cmの身長の男性に見立てると、東京から名古屋までの距離に相当するのよ。
精子の旅は、競技場のような走りやすい環境ではないわ。とても過酷なの。
精子が放出される膣の中は、酸性になっているわ。精子は、アルカリ性の環境でないと、長くは生きていけないの。放出されたばかりの精子は、精漿というバリアーで守られていて、酸性の環境でも生きて行けるようになっているの。でも、精漿の効力はだんだんと薄まって、15分から20分で切れてしまうのよ。この間に、弱アルカリ性の子宮頸管まで移動しなければならないの。
でも、子宮頸管はそう簡単に精子を受け入れてくれないわ。子宮頸管は普段は粘度の高いごく少量の液体で満たされているの。この状態では、精子は中に入ることができないわ。精子が子宮頸管に入れるのは、排卵日が近くなってからよ。排卵日が近付くと、子宮頸管の中は粘度の低い液体で満たされるようになって、精子が入りやすくなるの。
精子は、子宮頸管の入り口が開かれるのを、それほど長く待っていることはできないの。精子の寿命は、平均2~3日で、長くても1週間よ。短命な上、酸性の環境に長くとどまっていることはできないの。どんなに頑張って泳いでも、子宮頸管の扉が開いていなければ、卵子の待つ場所までたどり着くことができないというわけよ。
排卵日近くに放出された精子が子宮頸管にたどり着けるのは、精子全体のたった10%よ。子宮頸管まで無事にたどり着けた精子は、この後は弱アルカリ性の動きやすい環境の中で、熾烈なバトルを繰り返しながら卵管へと進んでいくの。卵管の中はたくさんのヒダがあるの。精子にとっては、いくつもの山を越えて行くようなものね。その険しい道のりを超えて、一番最初に卵子にたどり着いた精子だけが卵子の中に入り込むことができるの。
第3話 楽園への旅と成長の物語
精子と卵子が出会ったら、受精卵という形になるの。受精卵になると、細胞の分裂が始まるわ。
受精後2日で4細胞期、3日目に8細胞期、4日目に桑実胚、5日目に胚盤胞という状態へ成長していくの。細胞分裂を繰り返しながら、受精卵は子宮へと移動していくわ。
子宮にたどり着いた胚盤胞は、自分を包んでいる殻から飛び出して子宮の内膜へもぐりこむの。この瞬間を着床と呼ぶの。
着床して初めて、妊娠が成立したことになるわ。
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不妊治療は、ここまでのプロセスのどこかに問題があるかどうかを調べて、適切な方法を選択して妊娠に導くための治療を行うのよ。
不妊治療の記事をまとめました。
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