Dr.komakoのおんなのよろず診療所

komako先生が女性の心と体の不調を解決します。

災害時に発達障害児・者への配慮を忘れないで

こんにちは、Dr.komakoです。

 

災害時、発達障害を持っている子供やその家族、自身が発達障害を持っている大人は避難生活で大変苦労することになります。外見から障害を持っているとわかりにくい分、周囲からの理解が得られないからです。発達障害の方が災害時どのように困るのか、できればたくさんの方に理解していただきたいと思います。

 

f:id:komakosensei:20160429175106j:plain

災害時に発達障害時・者への配慮を忘れないで

発達障害とは?

発達障害は生まれつき脳の機能に偏りがあり、発達の遅れや偏りがある障害です。自閉症スペクトラム、学習障害、注意欠陥多動性障害の3つに分類されますが、いくつかの障害を合併していることもあります。

 

災害で発達障害児・者が困る原因

環境の変化に弱い

発達障害を持っている人の多くは環境の変化に大変敏感です。多少の変化でも動揺してパニックになってしまうことがあります。震災などで避難生活を余儀なくされても、その環境の変化に対応することが困難です。

 

感覚が過敏

発達障害時・者のなかには、聴覚や触覚など、感覚が過敏な人がいます。避難所のようなたくさんの人がいる場所では、聴覚が過敏だと小さなざわめきが騒音に聞こえます。嗅覚が過敏な人はたくさんの人の体臭や物が発するにおいで気分を悪くする可能性があります。そのため、避難所にいることができず車中泊など、不便でも自分のスペースが確保される場所を避難場所として選択せざるを得なくなります。

 

行動が理解されにくい

環境の変化や感覚過敏によってストレスを感じた時に、自閉症児・者は奇声をあげたり手を叩くなどの大きな音をたてたり、同じところをぐるぐる回るなどの常同行為をする可能性があります。それらの行動は、ストレスを緩和するための本人にとっては大変大きな意味を持っている行動です。しかし、自閉症児・者と関わる機会のない人からすると、大変奇妙な行動に見えるでしょう。時には恐怖を感じる人がいるかもしれません。

 

自閉症児はこだわりが強く、いつもと日課が違うととまどってしまいます。いつも持っているぬいぐるみがないだけでパニックを起こすかもしれません。

 

「常識的に考えて」という判断ができないため、危険な場所へ行ってしまったり、他の人のスペースに入ってしまうことがあるかもしれません。興味を感じたら、他人の物でも触ってしまう可能性もあります。

 

こういった他者から見て奇異な行動をとってしまうため、周囲の理解を得られず避難所にいることができなくなってしまうこともあるのです。

 

また、多動性のある子供はじっと列に並んでいることができません。そのため多動性のある子供を持つ親は配給を受けることができなくなってしまうのです。

 

本人の困っていることが周囲に伝わりにくい

発達障害児・者はコミュニケーションをとることが苦手な人が多いです。困っていても、困っていることを上手く他の人に伝えることができません。

 

発達障害児・者は障害を持っていることが外見からは分かりません。また、発達障害は生まれつきの障害で大人になったらなおるというものではありません。成人の発達障害者は特に、感覚過敏で苦しんでいたり、環境の変化に適応できず大きなストレスがかかっていても周囲に気付かれにくいのです。

 

また、身体感覚が鈍い人もいます。そう言った人は、怪我をしていたり、体調不良を起こしていても、自分自身で気が付くことができず重症化してしまう可能性もあります。

 

発達障害時・者へ配慮してほしいこと

発達障害児・者はたくさんいます

小中学生で発達障害の可能性のある人は、全体の6.5%に上ります。これは、40人学級に2~3人の発達障害の子どもがいるということになります。発達障害は生涯に渡って残る障害です。そう考えると、人口の6.5%に発達障害児・者がいるということになります。

 

特徴には個人差があります

発達障害を持っていても、社会に何とか適応し、社会人として働き続けている人もいます。発達障害の障害の現れ方にはかなり個人差があるのです。

 

ですから、自閉症児にはこの対応を、アスペルガー症候群の人にはこういった配慮をと対応をマニュアル化することができません。

 

避難者に個別に声掛けをしてください

避難生活では、避難所を管理する人自身も被災者です。その中で精いっぱいの対応をされていることと思います。

 

しかしその中であえてお願いいたします。避難者個人個人に一言でいいから困っていることは無いか声を掛けて下さい。避難者の中には、発達障害児・者がきっとたくさんいます。

 

発達障害児・者だけではなく、持病を持っているのに薬を持ってくることができなかった人、耳が聞こえないためアナウンスの内容が分からない人など、個別対応が必要な人がたくさんいることでしょう。そして、その中の多くの人が、「こんな時だから」と我慢しているのではないでしょうか。

 

日本自閉症協会では、自閉症児に「助けてカード」というものを携帯するよう推奨しています。障害を持っているなど、特別な配慮が必要な人は、この「助けてカード」のように自分の障害の特徴や、配慮してほしい点を分かりやすい形で示して災害時に提示できるような工夫をしておくとよいのかもしれません。

 

今回の震災では、発達障害児・者の困難についてニュースで取り上げられました。それにより、発達障害児・者へ援助の手が差し伸べられるようになってきたようです。

 

これからも日本は大きな震災に見舞われる可能性が残念ながらあります。災害時、自分や家族の命を守るその次で構いません。発達障害児・者がいること、困っていることを忘れないで、少しだけ優しさの手を伸ばしてください。

ameblo.jp

スポンサードリンク