こんにちは、Dr.komakoです。
私たちがおいしく食べたものはどんな仕組みで消化・吸収されていくか知っている?昔学校で習ったかもしれないけれど、おにぎり君と一緒におさらいをしてみましょう。
食べ物が消化・吸収される仕組み~あるおにぎり君の物語~
消化・吸収の舞台
http://www.med.miyazaki-u.ac.jp/community-medicine/child/index.html
- 消化に関わる器官は口、食道、胃、十二指腸、小腸、大腸の6つの器官があるの。
- 口:食品をかみ砕き、唾液と混ぜ合わせる
- 食道:口から胃までの食物の通り道
- 胃:胃液によって食べ物を粥状に消化する
- 十二指腸:栄養素を消化吸収されやすい形に変える
- 小腸:栄養分を吸収する
- 大腸:小腸で吸収された残りから水分を吸収し便をつくる
口から胃までの道のり
あるところに、五目御飯のおにぎり君がいました。おにぎり君はもともと、夕べは五目御飯として握られない状態でした。仲間の大半は昨夜のうちにお茶碗に盛りつけられて食べられていきました。
お茶碗に盛り付けられずに残った五目御飯は、「このまま捨てられてしまうんだろうか」と不安でした。でも、お母さんが優しくおにぎりにしてくれ、あったかい海苔までまいてくれました。
こうして無事五目御飯のおにぎり君は誕生したのでした。
五目御飯のおにぎり君は次の日、明るい朝日の中で目覚めました。
「遅刻だ!行ってきます!」
お兄ちゃんがおにぎり君を掴みました。そして、おにぎり君の身体の一部がお兄ちゃんの口の中に放り込まれました。
お兄ちゃんの口の中でおにぎり君は歯にすりつぶされ、粘り気のある水分と混ぜ合わされていきました。水分に当たると、おにぎり君の身体の一部がとけて行きました。アミラーゼという酵素によって、おにぎり君の身体のでんぷんが溶けて行ったのです。
おにぎり君はでこぼこした動きをする下の動きによって小さな塊にまとめられ、口から細い道へと押し出されていきました。
食道と言われる道を通って胃まで送られていくといううわさは聞いていました。食道に言ったら、絶対に反対に移動してやろうとおにぎり君は考えていました。でも、食堂の壁は粘液でぬるぬるしているし、壁が下向きに強引に押していくので反対方向へ逆らって動くことは不可能でした。
30秒くらいあがきましたが、おにぎり君は下向きに落ちていき、やがて湖の中に落ちて行きました。天井を見上げると、先ほど自分が落ちてきた穴が開いていて、どんどん自分の身体の残りが落ちてきます。
「ここがうわさに聞く胃だな。」とおにぎり君は考えました。
するとその時、湖の水面が大きく揺れ、おにぎり君の身体は大きく揺さぶられていきました。湖だと思っていた液体は、おにぎり君の身体をどんどん溶かしていきます。そうです。湖の正体は消化酵素だったのです。胃酸によって具の花形の鶏肉が溶けていきます。でも、鶏肉の中の脂肪は消化酵素の中でも耐えて形を保っていました。
おにぎり君は4時間もの長い時間をかけて粥状になりました。
「すっかり形が変わったなぁ。」
おにぎり君が感慨深げにつぶやいたとき、地面の底がぱっくりと開いて、下に押し出されていきました。
十二指腸での変化
押し出された場所は細い管のような場所です。すると、天井から黄褐色の酸っぱい匂いの液体や、無色透明の液体が降ってきました。その液体が体に混ざると、おにぎり君の身体はバラバラに分解されていきました。頑張って形を保とうとしていた鶏肉の脂肪も、とうとうばらばらになってしまいました。
「胆汁や膵液によって、身体をバラバラに分解され、吸収されやすい形に変えられる。」
いつか聞いた噂話は本当だったようです。
小腸で骨抜きにされる
おにぎり君の身体はゆっくりと前に押し出されていきました。細い管のような場所で、壁全体が大きく動き、振動しています。壁にはたくさんのヒダが生えています。
おにぎり君は揺さぶられながらゆっくりとブドウ糖やアミノ酸などの小さな成分になって壁のヒダの中へ吸い込まれていきました。
おにぎり君が通っている管はだんだんと広くなって行きましたが、おにぎりは大切な栄養素を取り除かれて骨抜きにされてしまいました。気が付くと胃から放り出されてからすでに8時間が経過していました。
大腸で生まれ変わるまで
おにぎり君は栄養分のないただのドロドロの物質になりました。それでもなお、ゆっくりと前に押し出されていきます。ドロドロの身体から、水分が少しずつ壁に吸い取られていきます。
壁からは、古くなった壁紙のようなものが時々剥がれ落ちて体に混ざって行きました。壁には無数の細菌がへばりついています。彼らは正義の味方と悪役に分かれているようでした。正義の味方と悪役は常に勢力争いをしています。
勢力争いに敗れた細菌の死骸もまた、おにぎり君の身体に交じって行きました。そしていつも間にか、水分は適度に抜けて茶色い柔らかい物質に変わって行ったのです。
おにぎり君はいつの間にかうんち君になり、やっと終点の壁にたどり着きました。おいしい五目おにぎり君としてこの世に誕生し、おいしく食べられてから約30時間が経過しています。
「長い旅だったなぁ・・・。」
おにぎり君はしみじみとつぶやきました。
その時です。おにぎり君の周りの壁が大きく波打ち、終点の壁がぱかっと開きました。おにぎり君はすごい勢いで外の世界に放り出されていったのでした。
おしまい。(しつれいしました。)
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