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Dr.komakoのおんなのよろず診療所

komako先生が女性の心と体の不調を解決します。

あるアルコール依存症女性の生涯

アルコール依存症

こんにちは、Dr.komakoです。

 

アルコール依存症と効くと、よっぱらいの中年のおじさんを思い浮かべる人が多いのではないかしら?
でも、実は男性よりも女性の方がアルコール依存症になりやすいのよ。

 

アルコール依存症は、進行性の病気よ。
ゆっくりと体を痛めつけながら進行していって、社会とのつながりを奪っていくの。多くのアルコール依存症の患者さんは50代でなくなってしまうのよ。

 

今日は、ある女性のアルコール依存症の患者さんがアルコールを初めて口にしてから依存症になり、病気が進行して亡くなるまでの経過をお話しするわ。

 

あるアルコール依存症女性の生涯

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はじめてアルコールを口にするまで


奈美さん(仮名)は、お父さんがアルコール依存症だったの。
仕事に行かずに朝から飲んだくれているお父さんや、お父さんの代わりに家計を支えて働くお母さんを見て育ったから、自分は絶対にお酒を飲まないと心に決めていたの。

奈美さんは、高校を卒業してすぐに近くの工務店で事務の仕事を始めたわ。
そこで、工務店に出入りしていた大工の見習の青年と恋をして、同棲するようになったの。


彼は、仕事熱心で、とても優しい人だったの。でも、一緒に暮らし始めてから、お酒に問題がある人だっていう事が分かったわ。

 

奈美さんは、彼をお父さんのようにしたくないと、一生懸命お酒をやめるように説得したり、お酒の量を管理しようとしたわ。でも、彼のお酒の問題はどんどん大きくなって、そのうちにお酒を飲んで暴力をふるうようになってしまったの。

 

何年も頑張ったけど結局、奈美さんは彼の暴力に耐えかねて、お付き合いをやめて実家に帰ることにしたの。

 

一人になった奈美さんを、どうしようもない孤独が襲ったわ。


眠れない日が何日も続いて、不安と苦痛からある夜、お父さんのお酒を一口飲んでみたの。初めて口にしたお酒で奈美さんはあっという間に気持ちよくよって、ぐっすりと眠りに落ちたの。

 

翌朝、しっかりと眠ったおかげで、久しぶりの爽快感を味わうことができたわ。

 

お酒とうまく付き合っていた時期

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それから、奈美さんは毎日1本だけ寝る前にビールを飲むようになったの。最初の2~3か月は、毎日変わらない量のビールを飲んでいたわ。

 

それから、週末には家に帰ってまず1本ビールを飲むようになったの。


お腹が空いている状態で飲むアルコールは、酔いがすぐに回って、とても心地よい気分になったわ。

 

奈美さんのお酒の量は、どんどん増えて行ったの。


仕事から帰ってすぐに1本。

お風呂に入ってから1本。

 

ビールでお腹がいっぱいになるから、食事はおつまみであまり食べなくなったわ。カロリーの摂取量が減って、一見痩せて綺麗になったわ。

 

でも、合コンにでかけても、お酒を飲み始めたらお酒を飲む方にばかり気持ちが向いてしまって、新しい彼氏はなかなかできなかったの。

 

飲酒量のバランスが崩れてきた時期

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友達に彼ができて、週末を一人で過ごすことが増えてくると、とても寂しくて、一人ぼっちの不安感にさいなまれるようになって行ったの。


そのころ、お母さんからお酒の飲み方で注意を受けたのね。

 

奈美さんは、自分のお酒の飲み方は決しておかしくないし、お父さんと一緒にしてほしくないって反発したわ。お母さんとの関係も上手く行かなくなって、一人暮らしを始めることになったの。

 

奈美さんは自由になったけれど、その分孤独になって行ったわ。

 

いつの間にか、仕事に出かけている以外の時間は、お酒を飲むようになってしまったの。休日は、朝から夜眠るまで飲み続けたわ。


健康診断で、肝臓の機能がよくないといわれるようになったり、二日酔いで仕事の効率が悪い日が出てきたり、仮病を使って休んだりと、少しずつアルコールの影響が表に出始めたわ。

 

でも、奈美さんは自分のアルコールの問題には目をそむけていたの。

 

そんな状態が、何年か続いたわ。


ある年のゴールデンウィーク明け、奈美さんは仕事中に手が震えて、字が書けなくなってしまったの。仕事がうまく進まないせいか、イライラして、激しい動悸がして、仕方なく仕事を早退したわ。

 

家に帰って、いつも通りビールを一口飲んだら、手の震えやイライラ、苦しい動悸が嘘みたいに消えてなくなったの。

 

奈美さんは、次の日から小さなペットボトルにお酒を忍ばせて仕事に行くようになったわ。そして、手が震える日は、こっそり一口お酒を口にするようになったの。


手が震えるのは、決まって月曜日だったわ。

 

そんなある日、奈美さんは真夜中に目を覚ますの。


体が冷えて、寒いのに、流れるくらい寝汗をかいていたわ。毛布をかぶって、がたがた震えて、目を閉じても頭がさえて眠れないの。不安に駆られた奈美さんは、ワインを一口飲んでみたの。

 

そしたら、症状は治まって眠ることができたわ。

 

それから奈美さんは枕元にワインや焼酎を置いて眠るようになったの。目が覚めた時に、すぐに口にできるようにね。

 

お酒で仕事を失いそして・・・

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毎朝お酒の匂いをさせていることに、会社の人は気が付いていたわ。


奈美さんは仕事でミスをすることが多くなって行ったの。仕事を頼まれても、すぐに忘れてしまうし、不注意で、細かいところに気が回らなくなってしまったからよ。


会社の人は奈美さんを見張るようになって行ったわ。そしてある日、こっそりお酒を飲んでいるところを見つかってしまったの。

 

奈美さんは、会社を首になったわ。

 

奈美さんは、とてもショックを受けたわ。会社を首になって家に帰ってから、やけ酒を飲んだわ。

 

夜中中ずっと。


朝になっても飲み続けて、酔いつぶれて眠り、目が覚めるとまた飲んだわ。お酒以外のものは口にしないで、ただただずっとお酒を飲み続けたの。

 

おふろにも入らず、酔っ払って垂れ流しの状態になって・・・。

 

そんな状態がしばらく続くと、さすがに体がお酒を受け付けなくなったわ。

 

奈美さんは、初めて恐ろしいと感じたの。
「もうお酒をやめよう。」

固く決心をしたわ。


体はぼろぼろで、体中が震えて、目を閉じても眠れないような状態が続いたの。

 

そして、私のクリニックにやってきたわ。


私は、奈美さんが重度のアルコール依存症だと診断し、禁酒と、断酒会への参加を勧めたわ。抗酒剤を処方して、断酒会のパンフレットを渡したの。禁酒の報告をするために、毎週クリニックに来るようにと約束したわ。

 

でも、奈美さんは次の週の予約をすっぽかしてしまったわ。

 

初めての入院

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奈美さんが次にやってきたのは、半年後だったわ。


奈美さんはタクシーに乗ってやってきたけれど、一人で立って歩くどころか、座っているのも難しい状態だったの。血圧が低くて、眼球も動かない状態だった。


すぐに入院して手厚い内科治療を受ける必要があったわ。それで、内科を持っている精神病院に救急車で搬送したの。

 

奈美さんは「ウェルニッケ脳症」という状態になっていたの。アルコールによる栄養障害が原因よ。


ウェルニッケ脳症は、点滴の治療をしばらく行うと改善したけれど、コルサコフ症候群という、記憶障害が残ったわ。アルコール性の肝炎も併発していたの。

 

奈美さんは、2か月間入院して、その病院に通院することになったの。退院後、「もう2度とお酒は飲まない。」という誓いをたてに、私のクリニックにやってきたわ。

 

私は、「お酒を飲まないで半年たったら会いに来て。」と伝えたわ。


でも、結局奈美さんは2度と私の前には現れなかったの。

 

入退院を繰り返し亡くなるまで

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奈美さんは、お酒をやめることができなかったの。退院して、1か月くらいは断酒できたことがあるけれど、大体は帰ったその日にお酒を口にしてしまったわ。

 

そのうち、アルコールのせいで認知症の症状があらわれて、正常な判断ができなくなってしまったの。


身体が欲するまま、アルコールを飲んで、結局肝硬変を起こして亡くなったわ。

 

亡くなった時の年齢は、46歳。

 

女性とアルコール依存症

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奈美さんは、特別な存在ではないと、私は考えているの。


女性は仕事や家庭のストレスを抱えていることがとても多いわ。お酒でストレスを発散する習慣を持っている人は、とても多いと思うの。私も、ワインは大好きよ。

 

お酒との距離感を保つことは、意外と大変なことなの。


あなたがもう一人の奈美さんにならないように、しばらくアルコール依存症についての話をしていくわ。

 

komakosensei.hatenablog.com

 

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